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古川 和男
鉱物学雑誌, 14(2), p.34 - 50, 1980/00
岩石特にマントルなどの溶融相の研究には、まず溶融珪酸塩MgO-CaO-SiO系の高温高圧実験により、定容条件下でその液体構造の本質を理解しておくことが必要であろう。これらはイオン性液体としてとらえられるが、その構造はアルカリハライド,酵素酸塩等の研究により次第に複雑なものへの解明が進められている。近年核エネルギー工学上の要請から研究の進んでいるフッ化ベリリウム酸塩,特にLiF-NaF-BeF系溶融塩は、MgO-CaO-SiO系融体との間に相応状態原理が有効に成立している。この物質の中間組成の強度は300~400C附近であって、300~8000C,約4000atmまでの実験により、MgO-CaO-SiO系の1500~2700Cにおける定容実験を代置できる万能性がある。Ni-Mo-Cr合金を容器に使用できる便宜もある。地球化学的研究への貢献が期待されよう。